犬の水を飲む量が増えたときに考えられる病気について

犬の体調不良は、日頃から犬の様子やしぐさや行動などを観察しながら、飼い主さんが素早く気づいてあげる必要があります。
その体調不良のサインの一つとして、水を飲む量が増えた場合も要注意です。
暑い季節は、当然水の飲む量も増えますが、気温に関係なく水を飲む量が増えた時は、病気の可能性も考えられます。
そこで、犬の水を飲む量が増えたときに考えられる病気についてお話していきます。
知りたいことはありますか
犬が1日に飲む水の量は!?
水は、人間でも犬でも生命線となる大切なものです。
愛犬が普段からどのぐらいの量の水を飲んでいるか、飼い主さんは把握しておきましょう。
一般的に犬が1日に飲む水の量は、温度環境にもよりますが、ドックフードの水分を除いた量の約2.5倍といわれていて、犬の体重に対して犬1日に飲む水の量の正常値は、
体重2kg :190ml
体重3kg :260ml
体重4kg :320ml
体重5kg :370ml
体重6kg :430ml
体重7kg :480ml
体重8kg :530ml
体重9kg :580ml
体重10kg :630ml
体重15kg :850ml
体重20kg :1060ml
体重25kg :1250ml
体重30kg :1440ml
体重35kg :1610ml
これはあくまでも目安となります。
例え正常値範囲内であったとしても、まったく問題はないということではありません。
特に、急に犬の水の飲む量が増えたことを飼い主さんが感じた場合は、正常範囲内の量だったとしても、早めに獣医さんに相談することをおすすめします。
例えば、24時間で体重1kgに対して100mlを超えるような水を飲む日が3日続くようなら、病気が疑われるかもしれません。
また、子犬の場合は、飲む水の量が多すぎても基本的に問題はないといわれています。
子犬は、水を飲み過ぎて下痢などを起こしてしまう場合もありますが、逆に飲み水の量を制限すると脱水症状になりやすいので注意してください。
子犬についても不安を感じたら病院を受診させましょう。
犬が水をよく飲むようなった原因について
では、犬が水をよく飲むようになった場合、どんな原因があるのでしょうか。
その原因はおおまかに次の4つのが考えられます。
フードが変わったため
ドックフードには、ドライタイプとウェットタイプがあります。
ウェットフードには、水分量が多く含まれているので、ウェットタイプからドライタイプに変わると犬が水を飲む量が増える場合があります。
また、ナトリウム含有量が高いドックフードや、塩分の高い人間の食べ物を食べると人間と同じで飲む水の量が増えます。
これは、食塩に含まれるナトリウムが血液中で濃度が上がり、それを脳が認識すると、体の中でイオンバランスを保とうとして喉が渇くように脳に指令を出す為です。
体内の水分が足りていないため
犬は、暑くなるとパンディングと呼ばれる体温を下げるための呼吸をします。
「ハァハァ」と息をする行動がパンディングです。
これは、息をすることで水分を蒸発させ体温を下げることにつなげています。
パンディングの時は、どんどん体内の水分が減るので、水を飲む量を増やして体内の水分量を保ちます。
一般的に暑い夏の方が水を飲む量が増えることと、長い散歩になると散歩をしない時よりも水の飲む量が増える傾向があります。
緊張など精神的なもの
意外に思うかもしれませんが、水の飲む量が増える原因に精神的なものが関わる場合もあります。
実は、飲み水が増える原因には、この精神的なものが多いです。
犬は、緊張をまぎらわせるためや、飼い主さんの気を引くためなどに水を多く飲むことはよくあることです。
例えば、留守番の時間が長時間になったり、近所で工事が始まったりして落ち着かないなど、普段の環境に何らかの変化があるケースなら、精神的な影響で水の量が増えている可能性が考えられます。
薬の服用によるもの
病院で処方される薬の中には、犬の尿の量を増やすものもあります。
例えば、ステロイド剤などアトピー性皮膚炎や皮膚のかゆみの治療に使われる薬や、心不全の治療に使われる利尿剤なども尿の排出量が増えます。
尿の量が増えれば当然飲む水の量も増えます。
利尿剤が使われる薬は、他にもあるので心配なら獣医さんに相談しておきましょう。
水を飲む量が増えたら病気が原因の場合も!?
犬が水を飲む量が増えた場合、病気が原因である可能性もあります。
水を飲む量が増えた場合に考えられる病気は、大きく分けると4つあげられます。
糖尿病
水の飲む量が増えたことで考えられる病気に犬の糖尿病があります。
初期は症状が表れにくく、かなり症状が進行してから水の飲む量が増えたり尿の量が増えるなどの症状がみられます。
さらに、食欲があるのに体重が減少するケースもあります。
糖尿病は、中年以降の犬に多く、特に高齢犬で肥満の犬は要注意です。
糖尿病は、放置すると合併症など危険な状態になることもあるので早めに病院を受診してください。
腎不全
腎不全は、食欲不振、嘔吐、飲み水の量が増えたり尿の量が増えたり、下痢などを起こします。
腎不全は、腎臓に流れる血液の量が減少することで、不要なものを外に排出する働きが低下したり、尿路に閉塞や漏出などの障害などで尿が排出されないことなどが原因になる病気です。
腎不全の多くの場合は、原因がわかっていないようですが、急性腎不全や慢性腎不全に移行したり、老化による腎臓の細胞の萎縮などが原因となって起こる病気とされています。
特に急性腎不全などは予後によって命にも関わってくるので注意しましょう。
子宮蓄膿症
子宮蓄膿症は、避妊手術を受けていないメス犬に多い病気で。
子宮に細菌が潜り込み子宮内で繁殖して炎症を起こすといわれています。
子宮に溜まった細菌が出す毒素によって腎臓機能が低下します。
目安としては、避妊手術の経験がない犬で発情出血の後、1~2ヶ月で水の飲む量が増えたと感じたら病院を受診しましょう。
副腎皮質機能低下症
副腎皮質機能低下症の症状は、水を飲む量が増えたり尿の量が増えたり、食欲低下、嘔吐、下痢、元気がないなどの症状が見られます。
副腎皮質機能低下症は、副腎皮質から分泌されるホルモンの分泌が低下したり欠乏によって起こる病気といわれています。
まとめ
愛犬の飲む水の量が増えたかどうかは、毎日水を与えながらだいたいわかってきます。
飲む水の量が増えることにくわえて、いつもと様子がおかしいかも?と思ったら、迷わず動物病院に連れて行ってあげましょう。
仮にたいしたことがなくても、ついでに健診をしてもらえれば安心です。
では、この記事をもう一度振り返っておきます。
☑犬が1日に飲む水の量は、フードの水分を除いた量の約2.5倍といわれている
☑24時間で体重1kgに対して100mlを超える水を飲むのが3日続いたら病気の可能性も
☑水をよく飲むようなった原因
・フードが変わったり、塩分の高い物を食べたため
・体内の水分が足りていないため。長い散歩になると水の飲む量が増える傾向がある
・緊張など精神的なものが原因で、飲む水の量が増えるケースが多い
・薬の服用によるもの
水を飲む量が増えた場合に考えられる病気
・糖尿病:水の量や尿の量が増える
・腎不全:食欲不振、嘔吐、飲み水の量が増えたり尿の量が増えたり、下痢などを起こす
・子宮蓄膿症:避妊手術の経験がない犬で発情出血の後、1~2ヶ月で水の飲む量が増えたら病院へ
・副腎皮質機能低下症:水を飲む量が増えたり尿の量が増えたり、食欲低下、嘔吐、下痢、元気がないなどの症状が見られる
犬を飼っていると、いろんなことがあります。
毎日、どんなふうに生活しているか様子を確認して、愛犬の異変にはすぐに気づいてあげられるようにしておきたいですね。